大阪難波10:00発特急「ひのとり」近鉄名古屋行き。
プレミアムシート最前列中央に陣取った私は少々ご満悦。
満席の車内のあちこちからスマートフォンのシャッター音が聞こえてきた。
それくらいのパノラマビューが売りの車両だ。
もっともこの日は、前を走る電車が倒木と接触するアクシデントがあり徐行運転を余儀なくされた。
疾走感が味わえなかったのは残念。
とはいえ、近鉄はカーブがやたらと多く、もともとそこまでの疾走感はなかったかもしれない。
そうこうしているうちに数少ない停車駅である津駅に停車。
隣の若いにーちゃんが下車するため電動フットレストを下げた。
これで終着駅の名古屋まで停車駅はない。
さらにのんびりできるかなーっと思った刹那、やや素っ頓狂気味な声をかけられた。
「あのー、ここボクの席です!!」
ここまで来てまさかのダブルブッキング??
一瞬焦ったが、どうやら隣の席のことを言っているらしい。
「これから名古屋まで、よろしくお願いします。」
年の頃10才にも満たなそうな、ややぽっちゃりした男の子。
自発的というより、おそらく親御サンから「挨拶しなさい」って言われたんだろうな。
「こんな良い席が取れたなんて信じられません!!」
「写真撮ってもいいですか??」
「自動販売機見てきます!!」
明らかに興奮している。
リクライニングシートやフットレストをリモコンで操作したり、サードテーブルを引っ張り出して、
「あのー、朝から何も食べてないんでおにぎり食べてもいいですか??」
食べながらも、前から電車が来るとその度に列車名を言っては「カッコイイ!!」を繰り返す。
なかなかのテツであることは間違いない。
少し落ち着いてきた頃、彼から思いもよらない言葉が放たれた。
「おにーさんはどこから乗ったんですか??」
お、おにーさん…だとぉ??
つづく